これだからラノベ読みはやめられない。マージナルレビュー

マージナル 6 (ガガガ文庫)

マージナル 6 (ガガガ文庫)


 すっげえ面白かった。読み終わった後の無常感というか脱力感というか……。とにかく最高に面白かった。
 正直これだけでも十分な気がするのですが、これだけはこの作品の面白さを伝えきれないと思うのでもうちょっと詳しく書いていきます。
 
 この作品を一言で表すなら「一風変わったミステリー」といったところでしょうか。この作品の主人公は警察や探偵という立場ではなくアンダーグラウンドサイトの管理人でありいわゆる正義の側の人間ではなく、かといって実際に殺人を犯す立場の人間でもない、マージナルな立ち位置から物語は描かれていきます。さらに「いかにして犯人を見つけるか」だけでなく、「どのようにして殺人鬼に狙われている人間を守り抜くか」にも焦点が当てられているのが特徴です。

 そんな中でも本日発売された6巻は先日発売された5巻と合わせて少し毛色の違った作品となっています。このシリーズでは姉妹が虐待を加えていた義母を殺すところから始まり、どうやって完全犯罪を成し遂げるかを焦点に描かれるいわゆる倒叙ミステリーというジャンルの作品です。

 人を殺す事で壊れ始める日常。彼女たちの結末はどうなるのか。主人公はこの事件にどのような結論を出すのか。
 

 作品の一部を抜粋することでこのレビューの締めとしたいと思います。



「……音羽さん、『殺人はあなたを幸せにしたのですか?』」
音羽は少しためらったあと、首を横に振り、弱々しく喘ぐ。
「あんなこと、やらなきゃよかった……」



 この作品を第一回小学館ライトノベル大賞に選んだガガガ文庫の編集部は非常に素晴らしいと思います。